海に花、空に指先、地に霞

王は娘を空に連れ帰り、妻とする。
娘を娶った空の王は栄華を極めた。

…だが、地上の娘を連れ去ったことは、地の王の逆鱗に触れた。
神から預かった地上の娘を、勝手に娶ることは許さないと。

空の王は約束する。
すでに空の者となった妻を地上には返せない。
だが、その魂は必ず地に還そうと。
幸福をもたらす者として。
繁栄を約束する者として。
再び、神の子として。

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