海に花、空に指先、地に霞

何度も私は口を挟んだ。

「……ぜんぜん意味がわからない。それがどうして嫁取りにつながるの?」

その度に、主に凪世が説明してくれた。
……丁寧に。

「地に還った娘は、再び向神の娘として生まれた。でも今度は、海の王が、その娘を娶るんだ」

「え~…? 何それ…。まさか、それでまた」

「そう。再び地の王が怒る。で、今度は条件も一切ナシで、娘を返せと言った」

「……それで?」

「大戦争。空まで巻き込んで、娘一人のために争った」

天鳥は珍しく頬杖ついたまま、茶々も入れずに無言で。
森さんは、じっと目を閉じて、聴き入るように。

「……どこが幸福をもたらす娘なの?」

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