海に花、空に指先、地に霞

「まぁ…ね。結局、その争いは神をも怒らせた。地上の理を守るための王たちが、それを忘れてしまったから。王たちの理と、神の加護を失った地上は……空も海も地も、世界のすべてが荒廃してしまった。そのときに、娘はね、命を落としたんだ。……自ら」

遠い遠いお伽話。
ご先祖さまの話……とはいえ、私にはただの昔話。

「王たちは嘆いた。娘の輪廻の輪は永劫に回せなくなったから。守るべき地上の者の魂を、王たちのエゴで…止めてしまったんだ。そうなってしまった後に、初めて気がついた。そして三者で協定が結ばれた」

これ以後、向神家の娘を、100年に一度、交替で娶り、その娘にあらゆる幸福を与えよう。
神の子として祝福しよう。
罪滅ぼしとして。
神の子の魂を慰めるために。

さらに、その血を分け合い、何よりも大事にしようと。
それは地上に生きるすべての人間を愛することに変わりないと。

神にも誓った。
これ以後、王は争うことなく、均整のとれた豊かな地上を守ろう。
だから再び神の加護を約束してほしいと。




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