海に花、空に指先、地に霞
「………すごい飛躍ね。なかなかに人の気持ちとか無視した話よね? 神様と王様寄りっていうか…」
でもそうゆう話なんだ、オレたちにとってもお伽噺だよと、凪世が笑う。
「…でもね。向神の娘を花嫁として迎えるたびに、なぜか例外なく王家は栄えたそうだ。…間逆の現象が起こった」
ああ…。
最初に言っていたな。
ジンクス付きだって。
「…いつしか物語は縮小されて、花嫁を得た王家は栄えるという伝承として受け継がれた」
「…で、交替制じゃなく?」
「争奪、になったんだ」
…迷惑、という言葉を私は飲み込む。
神子家系だなんて、知らない、と呟く私に、凪世はさらに笑みを深めた。
「当たり前だよ。神話に近い話だし。それに最初の娘の魂は輪廻されていない。……向神家は神の加護を失ったんだ。だから今は、ただの普通の子だよ」
「すみませんね…。ただの娘で…」
……そんな、昔話を聞いて。
私は何だかぼんやりとした。
…どう返事をしていいのか、さっぱりだった。
でも、それでいいよ、と凪世は笑ってくれた。