海に花、空に指先、地に霞

びっくりした…!!

一度目は「おかえり」が返ってきたことに。

久しぶりだったから。
そう言って貰えたの…。

二度目は、当然、半裸で家の中をうろつかれたからだ。

無駄のない引き締まった…体は、やっぱり……キレイだった。
細いとは思っていたけれど、ちゃんと筋肉もついてたし……。

そこまで思い返して、頭をブンブン振る。

何考えてるんだ?!私は…!

一人で真っ赤になりながら、制服を脱ぎ捨てて、ラフな恰好に着替える。


リビングに向かうと、天鳥はあのままの恰好で、ソファに座り込んでテレビを見ていた。

「沙杏、僕もちょうだい」

リビングを抜けて、キッチンで冷蔵庫を開けている私に、声が投げられる。

目敏いというか、耳聡いというか……。

なんで、お茶飲もうとしているのが分かるんだ?

仕方なく、ふたつのグラスに麦茶を注いで、リビングに戻る。

無言でグラスを渡すと、天鳥は、ありがと、と言って受け取った。…テレビを見ながら。

< 76 / 164 >

この作品をシェア

pagetop