海に花、空に指先、地に霞
びっくりした…!!
一度目は「おかえり」が返ってきたことに。
久しぶりだったから。
そう言って貰えたの…。
二度目は、当然、半裸で家の中をうろつかれたからだ。
無駄のない引き締まった…体は、やっぱり……キレイだった。
細いとは思っていたけれど、ちゃんと筋肉もついてたし……。
そこまで思い返して、頭をブンブン振る。
何考えてるんだ?!私は…!
一人で真っ赤になりながら、制服を脱ぎ捨てて、ラフな恰好に着替える。
リビングに向かうと、天鳥はあのままの恰好で、ソファに座り込んでテレビを見ていた。
「沙杏、僕もちょうだい」
リビングを抜けて、キッチンで冷蔵庫を開けている私に、声が投げられる。
目敏いというか、耳聡いというか……。
なんで、お茶飲もうとしているのが分かるんだ?
仕方なく、ふたつのグラスに麦茶を注いで、リビングに戻る。
無言でグラスを渡すと、天鳥は、ありがと、と言って受け取った。…テレビを見ながら。