海に花、空に指先、地に霞

しばらくそうやって悪態吐きあいながら。

でも、次第に力が抜けて、丁寧に撫でるように、手を動かした。

天鳥はじっとしたままだ。

「……キレイな、髪ね」

無意識に。
ぽつりと漏らした私の言葉に、天鳥が指先だけでピクリと反応した。

「…………」

……口が滑った。
多分、聞こえていたと思うけれど、彼は無言で。

ツッコまれるかと、思ったのに。
だから、なんとなく…言葉を続ける。

「…お日様の色だね。やっぱり…空の王さまだから?」

「……淫売の色だよ」

「え?何、聞こえなかった」

「………別に」

俯いたまま、あんまり低い声でこぼすように話すから、私にはよく聞き取れなかった。
だから、私は、それをタオルのせいだと思ってしまった。

次の瞬間には、ガッと腕を掴まれたし。

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