海に花、空に指先、地に霞

「……ちょっと、邪魔よ」

掴まれた手のせいで、頭を乾かす作業も中断される。
猫みたいな男が、ようやく顔を上げた。
いつものように、意地悪そうに笑って。

「……あんた、金髪が好きなわけ?」

じっと、目を覗き込まれる。
…多分、これは天鳥の癖なんだろう。
凝視するように、人の目を…貫く。

「……?いや、別に。…似合っていれば、何色だっていいわ」

「…似合ってる?」

「え?うん…。…い、いいんじゃない?…性格的にも天鳥って感じだし」

「…………何ソレ。意味わかんない」

そのとき、ようやく。
私の頭の中に警戒のサイレンが響くのを聞いた。

…この状況…、もしかしなくても、ヤバイかも…。

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