海に花、空に指先、地に霞
お腹の中で、盛大に文句を言い、自分の思考に自分で突っ込んだりしながら、ダンダンとキュウリを輪切りにする。
真横で、凪世が苦笑した。
「…説明もさせてくれない?」
「別に! 何でもいいし!関係ないし?! あなたたちに翻弄されてるのだけはよく分かってるつもり! 何でもいいけど、この家に女連れ込むのだけは絶対にやめて!」
「そんなことしないよ。本命のお家に」
「……よくそんなこと、いえるわね」
じっとりと横目でにらむと、凪世が苦笑を深めていた。
恥ずかし気もなく…。
しかも、このタイミングで…。
……さらに、凪世が否定しなかったことにも気が付いた。
説明って言った。
本命って言った(これは本気じゃないにせよ)。
ああ……本当なんだ。
…たくさんの愛…恋人がいるっていうの…。
何故だか、気持ちが沈んだ。
そんな私の気持ちを見越したかのように、凪世は唐突に言う。