海に花、空に指先、地に霞
「……沙杏ちゃん。次の土曜、一緒にでかけよっか」
「……はいぃ?」
「デート」
「…いや、遠慮します……」
「だめ。前にいったでしょ。最初はオレからだって。……で? さっきアトリと何してたの?」
急速に会話が方向転換して、私はキョトンとした。
「…髪、拭いてあげてただけ」
「……髪?」
意外そうに、凪世が少しだけ目を見開く。
…そんなに不自然なことかな。
……いや、ちょっと警戒心が足りなかったかも!!
慌てて、私は言い訳する。
凪世と、自分自身に。
「だって!シャワー浴びて、ベタベタのまんまなんだもん。服も着てくれないし!だから!」
「……へぇ、なるほどね」
意味ありげに、凪世が頷いた。
「? なに?」
「…別に? 沙杏ちゃんは知らなくてもいいこと」
「何よ、気になる言い方しないでよ!」
「あ、もうパスタいいな。沙杏ちゃん、お皿用意して」
最大に誤魔化されたけれど。
私は深く追求しなかった。