海に花、空に指先、地に霞
土曜もあっという間にやってきた。
朝から快晴。
昨日の夜に…ちょっとだけ、一人でファッションショーをしたから、部屋はぐちゃぐちゃだ。
迷いに迷った末、きなりに淡いブルーの大柄の花があしらわれたチュニックを選んで、黒のレギンスを合わせた。
何だかすごく…緊張する。
姿見に何度も自分を映して、何度も半身をよじる。裾や背の皺が気になる。何度も前髪をいじる。ちょっと跳ねている髪筋を撫で付ける。
髪のハネは直らなくて、ようやく諦めて、部屋から出ると。
…合わせたように隣の凪世の部屋も開いた。
美貌の王様が笑顔を覗かせる。
凪世は、ざっくりした七分袖のTシャツにジーパンというシンプルな恰好で。それだけなのに、ちゃんと…様になっている。
「準備できた?沙杏ちゃん」
「……ん」
心臓が跳ね出す。
…なんでたろう。
毎日顔合わせているのに。
ちょっと一緒に出かけるだけなのに。
他愛のない天気の話をするだけでドギマギしながら、一緒に階段を降りて、玄関に向かう。