天を仰ぎ


それは冬の夜

静かに降る雨の日のだった


チリン

鈴の音が聞こえた気がして真希子はリビングのカーテンを開く

「猫かしら?」

「もしかしたら、迷い込んでうちに来たのかもしれないな。」

広志もそう言いながら真希子の傍にゆっくりと向かう


庭に抜ける事の出来る外と室内の温度差で真っ白に曇ったガラス戸を開けた




すると一人の少女が雨雲で覆われた真っ暗な天を仰ぎ涙を流していた



涙は雨に流されて顔を伝い地面へと落ちる





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