NOWSON LIFE!〜私の夏休み〜
「美優ちゃんは、朝と同じところから、こっちに向かってしてくれる?」

おばさんに言われた通り、私はほんの1時間程前までいた場所に向かった。

たった1時間でも、自然はしっかりと前に進んでいた。

穏やかな光を出していた太陽は、今では存在感を主張してギラギラと照りつける。地面の照り返しも、刺すように痛い。
セミのパンクバンドはやかましく喚き叫んで、小鳥たちの歌声なんて聞こえない。
ただ、田んぼの上を走ってきた風だけが、私に清涼感を与えてくれた。

そんなお世辞にも快適とは言えない環境下で、私は黙々と草を抜く。

どうせ私なんてお手伝いなわけだし、晶いないし。草抜いてるだけ、偉いよね。うん。今、私、スッゴい頑張ってる!
そんな自己満足に浸りながら。

「美優ちゃーん、お昼にしようかー?」

しばらくすると、おばさんに呼ばれた。立ち上がると、重力の方向が変わり汗が一気に流れ落ちる。

同じ時間でおばさんは私の2倍の仕事を終わらせていた。
はぁ。私の頑張りなんてこんなもんか……。
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