NOWSON LIFE!〜私の夏休み〜
「昔はね、農業一本でやってたんだって。私がお嫁にくるずっと前は。だけど、時代の流れには逆らえなかったって言うか。収入が激減したんだって。」

「じゃあ今は……、農業だけなんて……。」

「無理よ。」

おばさんはキッパリと言い切った。その目が寂しそうで、私は何も言えなくなった。

「絶対に。だって、今、ウチの生活を支えているのは、ハジメさんのお給料だから。農業だけなんて、できるわけないのよ。」

「……厳しいんですね。」

現実を知れば知るたびに、自分の言葉が軽く聞こえてしまう。

「農家のスタートは赤字だから。種や苗や肥料を買って、真心込めて育てて、やっと出来上がったものは安く売られていく。私ね、晶は農家を継がなくていいと思ってるの。」

親が子供に自分の仕事を継がせたくない、って言うのはどんな気持ちなのか?親じゃない私にはわかりっこない。
だけど、いい気分ではないことくらい私にだってわかる。自分の仕事に誇り持ってるだろうし、おじさんあんなに熱く語ってたし。
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