NOWSON LIFE!〜私の夏休み〜
「美優はさ、農業しにきたんじゃないの?本当の農業を体験しにきたんじゃないの?」

真っ直ぐな目で私を見つめる晶。その目で見つめられたら心の中まで見透かされそうで、私は目をそらしてしまった。

私がここに来たのは、そんな立派な理由じゃない。ただ、単位がほしかった。それだけだ。

「たった何日か畑に出て熱中症で倒れて、家に帰りますって。そんなんじゃ、農業から逃げてるのと一緒だよ。」

逃げてる?
確かに言えてる。自分が無知だと知るのが怖くて、ただ逃げてるだけかもしれない。

「そんなんで、農業わかった気になるなよ!」

「晶っ!」

おばさんが晶を止めて、睨みつける。
そんな中、私は口を開いた。

「私ね、何にもわかってなかったよ、農業のこと。だから、自分の無力さに気づいたから、もう帰っていいでしょ?」

「何もできなくても、迷惑かけても、最後までやってみないとわからないだろっ!」

晶は半ば叫ぶように言うと、部屋を飛び出した。

晶がいなくなった部屋は、台風一過の静けさだった。4人取り残された部屋におばあちゃんの声が優しく響く。

「みゅうちゃん、もう一度、よく考えてごらん?」
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