世界中の誰よりも
・プロローグ

純白のドレスに身をつつみ、鏡の前に座る。


「メイクに入りますね」


プロの手によって綺麗に色づいてゆく私の顔。

ちょこんとすまして鏡と向き合っていると、鏡越しに母が顔を出した。


「似合うじゃない」


私は満足そうに微笑む。


「メイクが終わったらもっと綺麗になるわよ」


「ふふ、お母さんの若い頃とそっくりよ」


そう言って笑う母の顔は確かに私に似ている。

私もこんな風に歳を取るのだろうなと思った。
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