世界中の誰よりも
加奈子があたしを見上げる。俯いていた愛美も顔を上げた。
大好きだった友達。
だけど今はそんな二人の視線が、刺さるように痛みを感じる。
二人とも良い子だけど、あたしの心を休ませてくれない。
アヤやマキみたいに何も考えないで居られる空気を、二人はくれない。
正面から真剣にぶつかってくれているからなんだと思う。
だけど今のあたしには、それが凄く欝陶しい。
「二人にはあたしの気持ち分からないよ」
あたしはそのままクレープ屋を後にした。