世界中の誰よりも
「こないだの幸はさすがに酷かったよね」
「うん……、ちょっとね」
加奈子と愛美だった。
少し苛立ったような表情の加奈子。愛美はその隣で眉を頼りなく下げている。
「最近の幸、私好きじゃない」
きっぱりとした加奈子の言葉。突き放したのは自分のくせに、あたしの胸は痛んだ。
「マナも、そう思う」
愛美が言う。
控えめな言葉だけど、あたしにはすごく堪えた。
愛美は誰にだって愛想が良い。八方美人なんじゃなくて、ほんとにみんなに優しい。
そんな愛美にさえ、あたしは嫌われてしまった。
嫌われて当然のことをしたのにこんなこと思うなんて、あたしは狡い。