世界中の誰よりも
「あっ、そういえば数学の課題でさぁ……」
二人はがらりと話題を変えて、何でもない風に店を出て行った。
一人あたしは佇んで、本棚の陰から二人の後ろ姿を見送った。
あたしの鞄からケータイのバイブ音が聞こえる。多分、他校のメル友。
親友二人を自ら失って、薄っぺらい友達ばかりが増えていく。
家にも居場所はないし、学校もつまらない。街も退屈で、下らない。
あたしは急激に言いようのない絶望感に襲われた。
あたし、どこに行けば良いんだろう。
あたしは何がしたいんだろう。
誰もあたしを分かってくれない。ううん、あたし自身分からない。