世界中の誰よりも

支払いの済んだ雑誌を受け取り、鞄に入れる。

これで用は終わり。
もう、さっさと帰れば良い。

だけどあたしは意味も無くレジ前の広告を開いたり、鞄の中をチェックしたりして、レジの前に留まった。


「なんだよ。まだ用かよ」


男がわざとらしいくらい不審そうな目を向ける。


「……」


言葉に詰まってあたしはそっぽを向いた。

するとレジに別のお客さんが並ぶ。
明らかに邪魔なあたし。

仕方なくレジから離れようとしたあたしに、男が声をかける。
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