世界中の誰よりも
・新しい居場所
夜8時。
あたしは再び本屋の前に立っていた。
別に、話なんてない。
それだけ言って帰ってやるんだから。
中には入らず正面の駐車場でうろうろしていたら、後ろから声をかけられた。
「あ、ほんとに来てる」
急に声をかけられてぴくりと肩が震える。
振り向くと、本屋の男がまた制服に着替えて立っていた。
そしてその少し後ろに、もう一人の男。彼も同じ制服を着ている。
あたしの視線に気付いてか、本屋の男が少し振り返る。