世界中の誰よりも
バーガーを一つ片付けて、コーラをすすりながら本屋の男が続ける。
「そうだな、大事にしろよその名前」
あたしは少しふて腐れて目線を逸らした。
どうでも良いよ。
どうせ適当につけたに違いないんだから。
「俺は祐司。お前と同じ高校の三年」
三年生か。
やっぱ年上だったんだ。
祐司が黒髪の男にチラリと視線をやる。
視線を受けた黒髪の男は、面倒臭そうに続けた。
「佐原拓海。高三」
それだけ言ってポテトに手をつけはじめた。
「こいつは悪ガキのお前とは正反対の優等生。説教するには適役だ」
「え、俺が説教すんの?」
なんだ。
やっぱり怒られるのか。
やだなぁ、面倒臭い。
二人のやり取りを聞きながら、あたしはぼんやりと考えていた。