世界中の誰よりも

祐司はニヤニヤと笑った。だけどいやらしい感じじゃなくて、少し嬉しそうにも見えた。


「ま、説教する必要はなくなったみたいだな」


祐司がそう言うと、拓海も薄く笑って頷く。

あたしは少し不思議に感じた。ちょっと謝ったくらいでお説教がナシになるなんて。
あたしは悪いことをしたのに。


「魔がさしたとか、そんな理由だったのか?」


決して責めている訳ではなく祐司が聞く。まぁ一応聞いておく、そんな感じだった。

あたしは少し悩み、その時のことを思い出しながらぽそりと答えた。


「なんか、どうでも良くなった。胸がモヤモヤして、気持ち悪かったの」
< 120 / 264 >

この作品をシェア

pagetop