世界中の誰よりも

放課後の退屈な時間を一緒に潰す友達は沢山居るけれど、なぜ家に帰りたくないかなんて話したことはない。

不意に気づく。

あたしが何に悩んでいるか、何を思っているか、誰かに話したのは初めてだ。

加奈子や愛美と話さなくなって以来、あたしはずっと一人で抱えてた。


話し終えたあたしは、なんだかすっきりとしていた。
だけどなんだか気恥ずかしくて、アイスティーをまたすする。


「頼る奴が居ないんじゃ気持ちの行き場もないし、辛いだろうな」


とん、と置くように祐司が呟いた。


「心許せる相手が一人くらい居なくちゃね」


拓海も祐司に続けた。
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