世界中の誰よりも
その日の放課後、アヤもマキも用事があるらしくあたしは一人で下校した。
真っすぐ家に帰る気にはやっぱりなれなくて、あたしは一人で街に出る。
ネイルが欲しいんだよね、夏っぽいビビッドカラーのやつ。
ふらふらと歩いていたら他校の制服を着た男子に声をかけられたりした。
退屈だったから遊んでもよかったんだけど。
そいつの下品な笑い方が気に入らなくて、やめた。
気になるネイルを何色か試し塗りしていると、不意に聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。
「幸?」
声の方に振り向くと、目に入った黒髪。
「あ、拓海君」