世界中の誰よりも

多喜さんは特に怒る様子もなく軽く流している。


「仲良いですね」


本心からそう言ったら、二人ともちょっと照れたみたいに笑った。


「多喜が馬鹿だから合わせてるんだよ」

「私が拓海をうまく扱ってるのよ」


お互いに譲らないけど、そう言い合う二人は楽しそうだった。


あたしはふと信也先輩のことを思い出した。

強引に求められて思わず拒否したっきり連絡を絶った元彼。

あたしと信也先輩もこんな風にからかい合える関係だったら、もっとうまく付き合えたのかな。

信也先輩と別れた後、沢山の男の子に出会ったけど、そんな関係になれそうな人なんて居たかな。
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