世界中の誰よりも
キッチンのテーブルにはきっちりと夕食が用意され、父はすでに食べ始めていた。
「幸、ちゃんと勉強してたんだろうな」
父の言葉にあたしは答えないまま席につく。
不機嫌そうに首を振る母を見て、父はまた苛立った顔をした。
「勉強するからと言って母さんの手伝いを断ったんじゃないのか。親に嘘をつくなんて真似するんじゃない!」
嘘つかない子供なんか居ないよ。
あたしは心の中で呟いて、黙々と箸を進めた。