世界中の誰よりも
『なんかあったか?』
電話越しに聞く祐司の声はとても優しく響いてきた。
祐司が意図してそうしてるのかも知れないけれど。
「ちょっと、話したいんだ」
何を話したいのか、正直まとまらないし、分からない。
だけど祐司に聞いて欲しかった。あたしのモヤモヤとした気持ちを、吐き出したかった。
『今聞くか?』
「ううん。いつでも良いよ」
『じゃあ明日の放課後にしよう』
今日はもう遅いし、まぁあたしは平気なんだけど、祐司を付き合わすのは悪い。
明日話して貰えるなら、それだけで今は堪えられる。
あたしは最後に「ありがとう」と言って、電話を切った。