世界中の誰よりも
「多喜のこと知ってたのか?」
「昨日、拓海君と多喜さんに会って。そこで知り合った」
「あいつ、俺がバイトしてる間にイチャつきやがって」
祐司はニヤニヤと面白そうに言いながらポテトを頬張る。
ていうか、あたしが聞きたいのはそこじゃないんだけど。
「幸って名前、嫌いか?」
何てことないように、さりげなく、祐司は核心に触れてくる。
あたしは少し言葉につまり、一つ一つ、丁寧に言葉を探す。
「夕べ」
「うん」
「親にまた説教されて」
「うん」
祐司は優しい相槌で、あたしの話を促してくれる。