世界中の誰よりも

その後は下らない話をして過ごした。

祐司は意外とよく笑う人で、あたしも楽しくなって沢山笑った。


「そろそろ帰るか?」


腕時計を確認した祐司が言い、あたし達は店を出る。


「ねぇ、今日、ごめん」


スタスタと歩く祐司の背中にそう言うと、不思議そうな顔で振り向く祐司。


「なにが?」

「特に相談があった訳でもないのに、付き合わせちゃったから……」


話をしたいという気持ちが先走って、結局大した話はしなかった。

ただあたしのお喋りに付き合わせただけだ。

祐司だって暇じゃないのに。
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