世界中の誰よりも

昼間はそれなりに気温が高くても、夜には少し冷え始める季節。

この日もあたしは祐司と会っていた。

付き合っている訳ではない。あたしも、多分祐司も、お互いにそういう感情はない。

ただ居心地が良いから一緒にいる。

一度、無理して構ってくれているのかと心配になって祐司に聞いたことがあった。

「拓海が多喜と会ってると相手してくれないから、調度良いんだよ」


祐司はそう言って笑ってた。
祐司がそう言ってくれるから、あたしはその言葉に甘えている。




「そろそろ帰るか」


祐司がそう言ってあたしの方を見る。
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