世界中の誰よりも
「何をしている!!」
住宅街がビリビリと痺れてしまいそうなほど、大きな怒鳴り声が響いた。
その声の主がつかつかとこちらに近寄る。
怯んだオヤジはあたしを突き飛ばして逃げた。
混乱しつつあたしは、ゆっくりと怒鳴り声の主の顔を見上げる。
「お父さん?」
何故、父がここに居るんだろう。
しかも部屋着を着たままで。
あたしはますます混乱した。
父があたしを見下ろし、ゆっくりと声をかける。
「何ともないか?幸」
普段厳格な父が、眉を下げて不安げにしている。
あたしは小さく頷いた。