世界中の誰よりも
家に着いてから、母が未だ動揺しているあたしにホットミルクを作ってくれた。
母はそのままあたしの隣に座り、テーブルを挟んで向かいの席に父が座る。
父が今あったことを簡単に母に説明すると、母は驚きを隠せない表情で、あたしの肩を抱きしめた。
「良かった、何ともなくて……」
父も母も、あたしの帰りが遅かったことを叱らなかった。
だけどあたしは思い知った。
父が私の帰りが遅いと注意してきた意味。
スカートの丈を注意してきた意味。
あたしは自分が女だってことを、力で敵わない時があること、自覚しきれていなかったみたい。