世界中の誰よりも

家に着いてから、母が未だ動揺しているあたしにホットミルクを作ってくれた。

母はそのままあたしの隣に座り、テーブルを挟んで向かいの席に父が座る。

父が今あったことを簡単に母に説明すると、母は驚きを隠せない表情で、あたしの肩を抱きしめた。


「良かった、何ともなくて……」


父も母も、あたしの帰りが遅かったことを叱らなかった。

だけどあたしは思い知った。

父が私の帰りが遅いと注意してきた意味。

スカートの丈を注意してきた意味。

あたしは自分が女だってことを、力で敵わない時があること、自覚しきれていなかったみたい。
< 167 / 264 >

この作品をシェア

pagetop