世界中の誰よりも

「明日、警察に行こう。このままには出来ない」


父は険しい声でそうあたしに言った。

もう思い出したくなかったけど、野放しにしてまた誰かが狙われたら大変だ。

あたしは小さく頷いた。


「明日は学校を休みなさい。父さんも、仕事を休むから」


仕事命、と顔に書いてあるような父。
そんな父が、あたしのために仕事を休むと言った。

少し驚いたけど、なんだか胸がこそばゆい思いだ。


だいぶ落ち着いてきたあたしの様子を見て、父は席を立ち冷蔵庫を開けた。


「もう今夜は寝なさい」


そう言いながら麦茶を取り出す。
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