世界中の誰よりも
あたしはまた小さく頷き、母に肩を支えられながら立ち上がる。
ふと、少し冷静になった思考の中で、疑問が浮かぶ。
「お父さん、何で分かったの?あたしが危ないってこと」
親の勘?
まさか、そんなこと有り得ない。
すると父は珍しく優しく笑った。
父があたしに笑いかけるなんて、しばらくなかったことだ。
「電話、かけてきただろ」
「え……、うん」
確かに、あたしが電話をかけた相手は父の携帯だ。
頼れる相手がいなくて、最後に辿り着いたのは父の番号だった。