世界中の誰よりも
・大事なひと
玄関の扉を開けた瞬間、あたしは目を疑った。
頭がフリーズしてしまい、身体が固まる。
「おはよう、幸」
「学校行こう」
少しだけ気まずそうにしてそこに立っていたのは、加奈子と愛美だった。
「……どうして?」
久しぶりに会話をする二人。なんだか少し緊張しているあたしが居る。
「幸のお父さんから連絡があったの」
加奈子が言う。
以前と変わらない、真っすぐな瞳にあたしが映る。
「一昨日のこと聞いたよ。だから気にかけてやってくれって、おじさん言ってた」
ぱちぱちとした愛美の丸い瞳に心配そうな色が浮かぶ。