世界中の誰よりも
黙ったまま立ち尽くすあたしを、じれったそうに加奈子が促す。
「ほら、学校行くよ!」
「う、うん」
加奈子には右、愛美には左の腕を引かれて学校までの道を行く。
「帰りも一緒に帰るからね」
有無を言わさないような、ニッコリと眩しい笑顔で愛美が言う。
あたしは複雑な気持ちだった。
父はあたしが加奈子や愛美と喧嘩していたことを知らない。
アヤやマキの存在も知らない。
父が見張れない学校でもあたしを守るために、仲の良い友達として加奈子と愛美に連絡したんだろう。
あたしは父をお節介だとは思わなかった。
むしろじんじんと温かく滲みた。