世界中の誰よりも
「ちょっと加奈子! 幸だって辛いんだよきっと。許してあげようよ」
愛美は必死にかばってくれるけど、加奈子は揺るがない。
加奈子はまだ怒ってるんだ。
しっかり者の加奈子は、友達を傷つけるようなあたしを許せないんだ。
だけど加奈子が放った言葉は、それとは少し違っていた。
「私だって許したいよ! だけど幸は許すキッカケをくれてない」
「キッカケ……?」
愛美が聞き返す。
あたしは、なんとなくだけど加奈子の言葉の意味を理解した。
加奈子が続ける。
「傷つけても、うやむやにして忘れるなんて、ただの仲良しごっこじゃない。私は幸とそんな関係になりたくない」