世界中の誰よりも

「じゃああたし達もう行くから」


相変わらずあたしの首を絞める真似をしている祐司。

あたしがそう言うと、はいはい、と腕をほどいた。


「じゃあ失礼します、先輩」


しっかり者の加奈子が頭を下げると、愛美もそれに倣った。


出口に向かい出した二人の後ろで、祐司があたしに耳打ちする。


「仲直り、できたのか」


あたしは指で丸を作って微笑んでみせた。

祐司はぱっと微笑み、あたしの頭を優しく撫でる。


「よかったな」


あたしは頷き、加奈子と愛美を追う。

ここにもあたしを心配してくれる人が居た。

あたしの中でぽわぽわと暖かい気持ちが溢れた。
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