世界中の誰よりも
あたしはあの日の出来事を、丁寧に祐司に説明する。
所々であたしがその時どんな気持ちだったのかを織り交ぜながら。
両親の気持ちを実感し、加奈子や愛美と仲直りしたいきさつまで、あたしは一気に話した。
ブラックのままのアイスコーヒーを祐司がすする。
カラン、とあたしのグラスで氷が鳴いた。
「複雑な、気持ちだ」
しばしの沈黙の後で、祐司が呟いた。
あたしはその意味が分からずに首を傾げる。
「あの日俺がちゃんと送れば良かった」
胸がチクリと痛んだ。
あたしは祐司を責めたいわけじゃないのに。
「だけど送らなかった結果が今なんだから、それで良かったのかとも思う……」