世界中の誰よりも
祐司の気持ちを感じ、ほんわりと胸の奥が温かくなった。
あたしが怖い思いをしたことを祐司は気にしてくれていて。
それでも両親や友達と良い方向に向かっていることを、喜んでくれている。
だから、複雑なんだ。
あたしはにっこりと明るい笑顔を作ってみせた。
「祐司君は何も気にしなくて良いよ。怖かったけど、元々あたしが悪いんだから」
そう言っても祐司は腑に落ちない顔をした。
「今回のことがあってむしろ良かったよ。そのおかげで色々なことに気づけたんだから」
それはあたしの本心だった。
みんなの優しさに触れて、思い上がっていたあたし自身に気が付いたんだ。