世界中の誰よりも
どっしりとした鉛が、あたしの心の底に沈むような感覚。
表情が陰ったあたしに気づき、祐司が顔を覗き込む。
困らせちゃいけない。
これまでずっと支えてくれていたんだから、最後くらい強く居なくちゃ。
「祐司君、今までありがとう」
あたしが放った言葉は、二人の間にゆるゆると溶けた。
わずかな沈黙の後、祐司がふっと笑った。
「何、お別れみたいなこと言ってんだ」
あたしはパッと顔を上げ、祐司の瞳を真っすぐ見る。
祐司は平然としてアイスコーヒーの残りをすすっていた。
「だって、もうあたしの面倒見なくていいって。そう思ってるんでしょ?」