世界中の誰よりも

もう離れていってしまうと思っていたのに。

予想外の祐司の言葉にぽかんとしてしまう。


「なんだよ。変だぞ、お前」


いつもと変わらない、柔らかい笑顔。

あたしは瞳に込み上げてくるものをぐっと我慢した。


「だって、もう一緒に居られないと思ったんだもん」


少し震えたあたしの声に、祐司はギョッとする。


「何でだよ! つか何で泣いてんだよ!?」


あたふたと祐司は制服のポケットをさぐり、白地に黒の細いラインが入ったハンカチを出した。

そのハンカチはあたしに差し出される。


こんな時だけ紳士ぶっちゃって。

いつもならそうやってする憎まれ口も、今日は出てこない。
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