世界中の誰よりも

放課後にはデートが待ってる。

そう思えば大嫌いな数学も、暑くてだるい体育も何てことはない。


「今日なんかご機嫌だねぇ?」


加奈子がニヤニヤとしながら覗き込む。

へへ、とさらにニヤけるあたし。


「今日何かあるの?」


よくぞ聞いてくれました、と言わんばかりにあたしは答える。


「信也先輩とデートなんだ」


あたしの語尾は無意識に弾む。


「どうりで。佐々木先輩は部活で忙しくてあんまり会えないもんね」


加奈子は小さな子供にするみたいにあたしの頭を撫でた。
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