世界中の誰よりも
祐司はあたしの言葉が心外だとでも言わんばかりにふて腐れた顔をしていた。
あたしはハンカチを握った両手に力を込める。
「じゃあ何で、ずっとかまってくれてたの?」
すると祐司は少し考えるように宙を見やり、スッとあたしに視線を下ろした。
「特別な理由はない。幸と遊んでるのが結構楽しかったから。それだけじゃ、お前は不満?」
氷の溶けてしまったグラスがじわじわと汗をかく。
不満なわけない。
あたしが祐司と一緒に居たかった理由と、変わりない気持ちを祐司も持ってくれていた。
それはあたしにとって一番嬉しい答えだった。