世界中の誰よりも
また溢れ出した涙をごまかすみたいに、ハンカチを再び押し当てる。
何も答えないまま、また泣き出したあたしに祐司がうろたえる。
「なんだよ、不満なのかよ」
あたしは否定を表すためにブンブンと首を振った。
それでも顔はまだ上げられない。
「納得いったんだな?」
優しく、トンと肩を叩くように祐司が聞く。
あたしはコクりと小さく頷いた。
役割や、同情なんかであたしと居たんじゃないってこと。
それが分かって、なんだか胸の中の鉛が溶けていったみたい。
加奈子が言っていた。
ボランティアなんかじゃないよって。
優しい人は、同じように優しい人の気持ちが分かるのかもしれない。