世界中の誰よりも

近頃は日が暮れるのも早い。
カフェを出ると、もう外はしっぽりとした夜に包まれかけていた。

泣いて目が腫れたあたしの横顔を、祐司は面白そうに覗く。

あたしはそれを嫌がってわざとそっぽを向いた。

そんなあたしの様子を見て、祐司はさらに楽しそうに笑う。


「またメールして来いよ。遊んでやるから」

「うん」

「なんだお前、愛想ないな」


ぶすっと膨れたままのあたしに、祐司が文句を言う。

嬉しいくせに。

あたしは泣き顔を見られたことや、情けない不安を知られたことが恥ずかしくて。

なんだか素直に笑えない。
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