世界中の誰よりも
頬に当たる風が鋭さを増す。
寒いのは苦手だから、風が吹くたびにあたしは顔をしかめる。
「うわ、寒い! マフラーが欲しいねぇ」
今日の下校は女子三人。
同じく寒さが苦手な愛美が、きゅっと身を縮めた。
「ほんとだね。あたし、新しいマフラー欲しいな」
「じゃあさ、今から街に見に行かない?」
強い風にも動じない加奈子がそう提案してくれた。
あたしはニッコリと笑って同意し、愛美もコクコクと小動物みたいに頷いた。