世界中の誰よりも
一方で愛美はわざとらしくむくれる。
「二人ともラブラブなのに、マナだけなんでロンリーなのよぅ」
惚気話になると、必然的に愛美は置いてけぼりをくらう。
だからわざとらしく不機嫌に見せるんだ。
だけどそのやり方は決してイヤミたらしくなくて、あたし達は冗談を言い合うみたいに笑う。
「愛美もそのうちできるよ、彼氏」
「そうだよ、愛美モテるんだから」
あたし達がそう言うと、愛美は大袈裟に机に突っ伏す。
「マナの優しくてハンサムで背の高い王子様はどこなのぉ?」
何気に理想を盛り込んだ歎きに、あたし達は笑った。