世界中の誰よりも

あたしはベージュのチェック柄のマフラーを手に取った。

これならうちのあまり可愛くない制服も可愛く見せてくれそう。

色違いで暗めのグレーも見つけた。


こっちも可愛いけど、男の子が着けた方が似合うだろうな。


ぽんっと、祐司の顔が頭に浮かぶ。

あ、似合いそう。

って、そうじゃなくて!!

なんであたしが祐司に似合うマフラー探さなきゃならないのよ!


悶々と一人で考えていると、加奈子があたしの顔を覗いた。


「祐司先輩にプレゼント?」


気付けばあたしはベージュとグレーのマフラーを両手に握っていた。
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