世界中の誰よりも

そして翌日の放課後、あたしは祐司と二人で下校していた。

隣で祐司が昨日見たテレビの話やら、バイト先での話やらを楽しそうに喋る。

けれどあたしの頭の中はマフラーを渡すタイミングを探ることでいっぱいだ。


あたしの首元には買ったばかりのベージュのチェックのマフラー。

そして鞄の中には、揃いの柄のグレーのマフラー。


深く考えなくていいんだ!

パッと渡しちゃえば!


そう心の中で繰り返しているうちに、段々と家に近づいていく。


渡せないまま家に着いちゃう。

なんでお礼するくらいでこんなに緊張するの、あたし。
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